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'四国八十八ヵ所 -わたしの遍路旅' [書物(本・雑誌)雑感]

四国八十八ヵ所 -わたしの遍路旅
石川文洋
岩波書店 岩波新書1151
2000年 9月19日 第 1刷発行
ISBN 978-4-00-431151-5


 カメラマン石川文洋の名前は、ベトナム戦争の頃を知っている方であればお馴染みだと思う。その人の四国八十八ヵ所だ、何か凄いものがあるかもしれないと思うと、間違う。歩き遍路をしながら、土地の人々だけでなく、リストラされた方・離婚を迫られている方、思い切りが必要な方さまざまな人に出会うが、行き過ぎるだけ。自分の歩いた道筋を丹念に描写していく本である。

 なぜ歩くのか?著者は歩くのが好きなだけである。そんな八十八ヵ所のカラー版であるが、写真も多少の思い入れがあるだろう作品もあるが、説明的な写真が多い。通り過ぎる景色、お寺の景色である。

 では、この本は価値がないのかと云えば、違う。この本の中でも著者は面白く書けないと云い、淡々と述べるだけだが道中以外は感謝と鎮魂の情に溢れている。すれ違う多くの歩き遍路の方が著者と同じような感謝と鎮魂の情に溢れていれば、世界は自分ひとりでないと納得できるし、自分の悩みが違って見えること必定である。それほどの内容を淡々と述べながら、八十八ヵ所を丹念に描き写真に撮っている。そんな本だ。

 鎮魂とはまえがきに書かれているが、「遍路を実行しようと決めたのは二〇〇五年、ベトナムへ行った時だった。四月三〇日、ホーチミン市で「南ベトナム全土解放三〇周年」の記念パレードを眺めながら、ベトナム、カンボジアの戦争を取材中に生命を失った一五人の日本人ジャーナリストたちを慰霊し、現在のベトナムとカンボジアの状況を報告しようと思った」ことである。四国とベトナムに関係があるのかと疑ってはいけない、著者の生き様の話であり、納得なのだ。また、自分の生い立ちから沖縄に住んだ母と弟への鎮魂も含まれる。それらが飾られることなく挿入され、著者の人柄がにじみでる。

 そして徳島・高知・愛媛とまわった後で、著者は心筋梗塞の発作に見舞われ心停止にて数回電気ショックを受けている。「今」生きている感謝の心に満ちているが、それも叫んだりせずに描いている。そんな本だ。読みやすいし、著者の素直さに溢れる好書。でも正直なところ、著者は才能に溢れるってタイプではなさそう。才能なんてのがあれば、これだけ素直な本はできないだろうと思う。感謝し喜んで生きている、羨ましい。

 昔の薬理学の先生の研究のお手伝いを思い出し、本の中で面白かったのは、金比羅山。 785段+ 583段の石段に挑戦したいと、朝食前に血圧を測定して156/96mmHg(以下単位略)。以後血圧を測定しながら130/79、146/77、127/69と記録している。朝の血圧測定を勧める医師も多いが、安定していない。睡眠中はビックリするほど血圧って低下していて、朝数時間かけて上がったり下がったりしながら活動的な生活に適した血圧になっていく。冷たい水で顔を洗ったり、トイレで力んだりするだけで血圧は舞い上がる。だから、朝の血圧ってあまりあてにならない。できるだけ条件を早めにあまり動いていない時に定めたい。

 また、体を動かす運動では、運動中は血圧は上昇しているが休むとスウーッと下がる(ことが多い)。筋肉だけ使って体を動かさない運動(重量挙げが代表、体を動かしても艪を漕ぐようにものを握りしめ筋肉の緊張が続いても同じ)では上昇した血圧はなかなか低下しない。だから体に負荷をかけずに動く運動が好ましい(運動中は血圧上がるから一応主治医と相談してね)。また、普段から心臓に負担がかかっていると運動とともに血圧は低下し、心不全を発症することがある。高血圧が悪性化(促進化)していても運動で血圧は下がることが多い。これらの場合は、動悸・息切れが一緒に強く出るから症状で判ると思う。まあ、一言で云えば症状がなければ体を動かして筋肉の緊張を持続させることが少ない運動は結構でしょう。石川氏の最後の血圧は、物事をやり遂げた安心感による低下も加わり、爽快な充実感を感じることができる血圧だと思います。

P.S.
 「多くの人から頂いた「お接待」から思いやりと優しさが伝わってきました」とある。お接待はその心で行きたい。


タグ:運動と血圧
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まる七

先日 石手寺前の”ファミリーマート”での出来事‥
自動ドアの前に 金剛杖が二本‥杖先に目をやる‥杖先を見ればどんな遍路か直ぐに解かる‥
「歩きか‥これから52番までがたいへんだ‥」

店に入ると その杖の持ち主であろう2人ずれの若者にであう‥
「ここからが 難しいからきをつけてね!」との言葉に 「そうなんですか?」の答え‥大まかにこれからの行程を教えてあげる‥

帰ってからの”晩酌焼酎”を仕入れ 車に乗り込んだところで 彼らから声がかかった‥「何処かで ご飯食べれるところは無いでしょうか?」それならこの時間なら‥と 三箇所教えてあげた‥

仕事の運が変われば良いと思っている‥
by まる七 (2008-11-20 14:11) 

依光次郎

そうですね、杖先を見れば歩きかクルマか一目瞭然。

まる七さんの、声かけも心のこもったお接待だと思います。
当然御利益があると思いますが、仏も神と一緒で「沈黙」でしょうから、ご自身で見つけなければならない所がキツイ。いずれ何かがありますように。
(^^;

ちなみに石川さん、観光港の前の道から52番へ登る遍路道は分かりにくかったとされ、52番参拝後にも農家で53番への道を尋ねられています。その農家の娘さんが、後から追い掛けてお母さんからとアイスクリームのお接待が。その娘さんの写真が載っていますから、御利益でしょうか。

by 依光次郎 (2008-11-20 15:43) 

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