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'転生' [書物(本・雑誌)雑感]

転生
仙川環
小学館 (小学館文庫571:文庫書き下ろし)
二〇〇八年五月三十一日第六刷 (二〇〇六年十月一日初版第一刷)
ISBN 4-09-408117-8


 私は深沢岬、東都新聞の記者をしていたが訳あって、今はフリーライター。訳って云っても私はまっとうに記事を書いていたが、付き合っている官僚の原島を脅迫してネタを貰っているのではないかと他紙に書かれてしまった。そのことで閑職に追いやられ辛抱できなくなって退社した。

 その時同期のお人好し平木佐和子が、アメリカの大学で一年ほどジャーナリズム講座を受けてきてはとアドバイスを呉れたので、良い考えだと実行した。その時、お金がなくて新聞で見た新薬開発に協力のアルバイトに応募、行ってみると不妊治療の研究のため卵子を 300万円で売って欲しいとのことだった。卵子を売ることは違法だと思いながら、受精させることはなく研究終了後は破棄するとのことでお金が必要だったから了承した。実際何回も注射を打たれるし、ボランティアでするものではないと感じた。

 物語はここからはじまるが(^^;、今日私はJRの安全対策を検証する特集記事を書いて欲しいと連絡を貰って、ホテルのロビーで待ち合わせ。ところが、佐藤と名乗る男がベビーカーを押しながら入ってきて、記事云々は呼び出すための嘘で、この子ミチルはあなたの子供だから受け取ってくれと押しつけていなくなってしまった。(@_@)岬ノキモチ 冗談でしょう、子育てをする気はないし、卵子を売ったってことがばれると私のジャーナリストとしての将来はなくなってしまう。これは何が起こったのかハッキリさせて子供を返さなくては・・・、取りあえず子供は伯母の中原陽子に預けたい。でも、彼女自分が納得できる説明がないと動かない人だから苦手。

 書店で輪廻転生の転生かと手に取ったが違っていて、読んでみると実に上手いタイトルだ。現代科学による転生であって、本のテーマと一致する。ヒロインは「本人のことを考えると、やっぱり反対です。私は誰かの転生として生まれてきたくはありません。何物かであることを期待されても困ります。」と述べるが、本当はここでは転生でなく別の言葉が使われている。その言葉を書くと全体がモロバレになるから・・・、でも上に書いた物語の背景とこれだけで判るかな?

 物語の背景であって、物語の大事な登場人物も触れていません。喜多野刑事にはいろいろ書いてあげたいこともあるし、混合診療の問題も少し出る。でも僕が興味を持ったのはヒロイン深沢と友人平木の関係。ヒロインは平木について「今日だってそうだ。平木はこの店に来てみたいと言った。言われたほうが傷つくなんて、考えもしなかっただろう。(岬は価格の安さを売り物にしている全国チェーンのこの店が気に入らない:依光注)その鈍さが罪だと思った。たまには痛い思いをすればいい、そうすれば、独りよがりの善意が、凶器になることもあると思い知るだろう。そう、この女は泣かせてやるぐらいでちょうどいい。」と自分の要求を頼むために平木と彼女の上司がマンションの前にいる写真を出すのだ。それまでの取材(と云うより事件の謎解き)の際の強引さや無礼さを深沢岬には感じる。

 作者自身が深沢岬タイプなのか、平木佐和子タイプなのかの興味 (^_^)である。深沢岬タイプでないと書けないほど、うまく書けている。いや、二人の性格も物語が進むに伴い多少の変化し、平木も快い決断をします。最終的には二人の関係は僕には納得なのですが・・・。まあ、作者は平木タイプであり新聞社勤務の頃に深沢タイプの女性記者が居たとしておこう。(^^;でも、岬タイプを上手く書いている。

 この本も最期の数十ページが面白い。ミチルの首を絞めようとして「できない・・・・・・」と呟いてから(誰が?)が面白かった。それまでは話の内容の割に少しだけ長いかなと感じていたけど・・・、いや読み疲れるなんてことは全くない。ただ、これほど書き込まなくてもと感じただけ。判りやすいストーリーで、押さえるべき処は押さえて、楽しませて頂きました。

 個人的に国立京都国際会館での学会の場面は懐かしかった。そう云えば勤務中から大きな学会は暫く行ってなかったなあ。(^^;


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