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"ボルチモアの光" [映像(映画・放送)雑感]

ボルチモアの光  (奇蹟の手/ボルチモアの友情)
洋画 医学的一隅を照らす系
ジョゼフ・サージェント監督
B上
2004年 111分


<<粗筋>>
 1930年、ナッシュビル。ビビエン・トーマス(モス・デフ)は医者になるために大学へ行くつもりだった。ヴァンダービルド大学外科研究所のブラロック教授(アラン・リックマン)の助手となり医学に近づいたと思ったが、大恐慌のために銀行が潰れ資金がなくなり大学を断念する。教授の研究課題は外傷性ショックであり、ビビアンは医学的知識を学びつつ、犬を使った実験で器用さを示していた。兄ハロルドは、白人教師との給料の差撤廃に活動していた。

 1943年、ボルチモア。外傷性ショックの研究が認められ、ブラロック教授はジョンズ・ホプキンズ病院外科部長に招かれる。ビビアンも誘われて一緒に移動していた。歓迎パーティでブラロックはタウシッグ(メアリー・スチュアート・マスターソン)から先天性心疾患児の相談を受ける(ウッ、あのブラロックだ。タウシッグさんて女性だったんだ)。ビビアンは黒人としての差別を受けながらも、医学的知識と動物実験での技術から信頼を得ていく。犬の実験が成功したとしてブラロックはタウシッグの患者さんの両親に手術を勧める。両親は手術を受けることに同意するが、犬が死んでしまう。

<<ポイント>>
 BTシャント術誕生物語である。しかし、非常にオーソドックスに作られているので医療関係者以外でも最後まで観ることが出来る。医学関係以外でも黒人差別が描かれている、家族愛が描かれている、仕事に対する熱情が描かれている、トップランナー(手術前の教授)の苦悩が描かれています。そしてビビアンは最終的にジョンズ・ホプキンズ病院の研究室長まで出世します。日本人が大好きな一隅を照らすの映画でもありました。(そう云えば、一隅を守り千里を照らす説はどうなっているのでしょうか?30年ほど前に中国の僧が支持した新聞記事を読んだ記憶があるのですが・・・。)

 病気の理解には、Astro-Heart projectを主宰するmiyuさんによるファロー四徴症解説がお勧め。その後「ツケが回ってくる話」第三部の根治手術と続きます。Miyuさんが根治手術の前に受けられた手術がブラロック教授とビビアンによってはじめられたものです。根治手術が出来たからと、BTシャントの価値がなくなったものではありません。根治手術に耐えられるようになるまで、成長期間にBTシャントを必要とする患者さんがいるわけです。手術前の教授の不安にも注目して欲しいし、夫を支える妻の役割にも注目して欲しいところです。

 またビビアンが受ける差別と同時に兄が教師間の給料差別を描いてもいます。そして、兄は給料格差がなくなると教師を辞めています。教師に向いていなかったってこともありますが、「感謝なんか望んでいない。没頭できる仕事がしたいんだ。」と語ります。差別そのものより、この言葉が映画のテーマなんでしょう。結果はハロルドにとって「若い人は、今の給料が当然だと思っている」ことになり、ブラロック教授もビビアンも同様に病気の人が当然のように手術を受けられることを望んでいます。(ここ10年ほど医学の進歩は莫大な利益(高額医療)のためになされている感じです。アメリカ経済の証券化による影響だと思います。この風潮、厳しいものがありますが、サブプライム・ローン問題と一緒にアメリカ経済が破綻して昔に戻るほうが世界のためでないでしょうか?おかしいぞ、アメリカ。アメリカで当然なことが世界では当然ではないのだから。)

 昔の大学の研究室には医者ではありませんが、抜群の技術を持った方がいました。私の大学でも放射線技師さんで、上部消化管透視検査(胃透視)でどの医者も負ける写真を撮られる方がいました。医療法などであまり医者ばかりに、他の職種の方を除きすぎるように、仕事の制限をすると医者も困るし患者さんにも不利益になる場合もあると思います。この映画で云えば、手術の場面でビビアンが立ち会うだけですんで良かった。万一、思わしくないことが起こって、ビビアンが直接患者さんを手術することになれば、法を侵してしまいます。そんなことはないだろうって?法よりも強い黒人差別(ブラロックにもある)を平気で無視して、自分がTB(結核)で死に直面して命の大事さを第一に考えるブラロックです。さて幼い命が絶たれるのを平気で見過ごすとも思われませんが。

 とにかく久し振りにオーソドックスな映画を観た感じでした。でも、これってTV映画だそうで、原題はSomething the Lord made。映画配給会社による邦題がなく、放映される局により題名が異なるようです。

<<楽しめる人>>
医学ものが好きな方

オーソドックスな映画でやすらぎたい方

医師・看護師
(大学では試験のヤマのひとつでしたが、そちらの学校ではいかがでしたか?)


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Asako

はじめまして。「ボルチモアの光」をネットで検索しましたところ、貴ブログに
ヒット。そこで立ち寄らせて戴きました。

実は、この作品をエア・チェックされた方を探しております(^^;)。
主役の一人、アラン・リックマン氏の一ファンで、ぜひ評判のよいこの作品を
見たいものだと思い、あつかましく問い合わせさせて戴いているような次第
です。

管理人様のお手元には、この作品の○ピーはおありでしょうか。
リックマン氏の他の未DVD化作品のコ○ーとの交換をお願いできましたら
誠に幸いです…<(__)>。
by Asako (2008-07-02 19:06) 

依光次郎

 基本的にエアチェックは個人で楽しんで終わるもので著作権に触れないと理解しています。 m(_ _)m

 また、自分自身見ていないビデオを見るために雑感を書いている所がありますので、交換品は不要です。

 上記ご配慮の上、どうしてもであれば、メールにてご連絡下さい。
(サイト・・幡多人で検索していただければ・・・のほうにあります)

by 依光次郎 (2008-07-02 19:29) 

Asako

ご無沙汰致しました。その節はお世話になりまして、ありがとうございます…<(__)>。

さて、「ボルチモアの光」、楽しませて戴きました。とはいえ、しみじみと
拝見しましたが…。

わずか80年前の出来事とは思えませんでした。表向きの人種差別が
なくなったように思える現代でも、医学のタブーを含めて、まだまだ考え
させられる題材のように思います。

アフリカ系アメリカ人が大統領候補になり、次期大統領にもなる時代に、
乳がん手術法「ハルステッド法」の考案者の話がちらりと出るなど、とても
有意義な作品なのに、未公開かつ地上波未放送とはもったいない話では
ないでしょうか。

傲慢な、しかし、仕事熱心でビビアンを高く評価してしている複雑なキャラ
クターをアラン・リックマンが実在感たっぷりに演じているのが印象的です。
「銀河ヒッチハイク・ガイド」で、ひょうきんな宇宙人を演じたモス・デフの
シリアスな演技もなかなか達者で見ものでした。

日本のドラマも何かというと漫画作品に逃げるのではなく、きちんと人間に
焦点を絞ったドラマを制作することを目指す好機なのではと思います。

いろいろ勝手なことを書き込みました。ともあれ、貴重な出会いに深謝申し
上げる次第です。




by Asako (2008-10-27 12:33) 

依光次郎

こんにちは、Asakoさん。
依光次郎です。

ひとり旅を楽しんでいましたので、お返事が遅くなりました。
m(_ _)m

そうですね、アラン・リックマン演じるブラロック教授があればこその映画で間違いないですね。複雑なキャラと仰有るように好演ですね。

では、またの機会に。

コメントありがとうございました。
by 依光次郎 (2008-10-28 17:24) 

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